「オレ、ゲイビの男優やってんの。これでもキングっつって。その筋じゃ有名なのよ?」
…ゲ、ゲイビですかー!?!?!?
知広は叫びたくなるほどの驚きを、心の奥底にしまった。
本人を目の前にして傷つけるわけにはいかない。
善之介とセックスしてしまって以降、自分とはかけ離れたよく分からない世界の住人と出会うようになったなと思う。
そっちの世界に足を踏み入れてしまったということだろうか。
通りで、男でも惚れ惚れするようないい体をしているわけだ。
「…坂本くんは恋人とかいないの?モテそうだけど。」
知広はあくまで平静を装って尋ねた。
「モテるけど、いないねぇ。」
坂本が知広の顔をじっと見つめる。
「へー…!もったいない!!!」
知広は相づちもそこそこにドギマギして慌てて目をそらせ、目の前のジョッキを煽った。
「もったいないってことは、まーアリかなってこと?」
坂本は知広の顔をなおも見つめ続ける。
「え…」
「…オレわりと本気なんだけど。」
知広は坂本から目を逸らすことができないまま少し後退った。
「テメェの恋人、こんなに泣かせる男なんか辞めちまえよ。」
「…さ…坂本?」
坂本は顔を近づけたかと思うと、知広の唇を奪った。
「…あ…」
軽い口づけのあと、坂本は衝動を抑えきれず、豆鉄砲を食らったような顔をする知広の唇に再びむしゃぶりつく。
「…ん…ふ…」
閉じようとする唇を強引に抉じ開け、坂本の舌が侵入してくる。
「…は…ぁ…」
坂本は舌で知広の唇を舐め、歯の表側裏側、そして舌先、さらに口内奥へと丁寧に丁寧に愛撫する。
舌が、唾液が絡まり合い、肉体的精神的な一体感が知広を襲う。
「ぷ…は…」
ゆっくりとお互いの体温を味わうような長いキスのあと、坂本の唇は顎から首筋、鎖骨を伝う。
坂本は知広のセーターを脱がせ、胸へと愛撫を加えた。
「…あぁっ!!!」
知広がビクビクと体を震わせる。
「…ともぴょん、乳首感じるんだね。」
舌を動かしながら、坂本は指の動きも休めなかった。
知広の髪から耳、頬をつたい首筋から左の胸を攻めたてる。
「…あっあっ」
指で左、舌先で右の乳首をねぶられ、知広は声をあげた。
ピクンピクンと体を震わせる知広の反応を楽しみながら、坂本は、攻める手を緩めなかった。
坂本の右手は知広の脇腹をつたい、骨盤から、するりとパンツのなかへの滑り込んでいく。
しばらく骨盤を撫で、知広自身に触れるか触れないかのところで、坂本は焦らし続けた。