「…あ…イヤ…や、やめて…」
骨盤からさらに奥へ。
股間に伸ばそうとする坂本の腕を、知広は両手で掴んで止めようと突っ張った。
「なんで?超硬くなってんじゃん。」
坂本が舌舐めずりしながら言う。
「逆につらくない?」
知広の制止も無駄な足掻きだった。
するりと手を伸ばし、知広のペニスを舌から上へしごき始める。
「あっ…あっ………イヤッ!やめて!!!」
知広は女のような声を出し、涙声で懇願する。
「…ヤダッ!………ヤダッ!!!……………あっ…………………ぜっ」
次の瞬間、坂本の手がピタリと止まる。
「…善之介!!!!!」
坂本の手をドロリとした精液がゆっくりと伝っていく。
知広はしゃくりあげながら、坂本の腕を抑え、泣き続けていた。
「…イヤだ…もう…辞めて。。。」
坂本はパンツから手を出し、ぬるぬるとした手をお手拭きで拭った。
早すぎてマジ三擦り半なことにツッコむこともできず、顔をくしゃくしゃにして泣いている知広の肩を抱き寄せた。
「…うっ…ご、ごめん…ごめんね。…ごめん。」
ゴシゴシ涙を拭いながら謝り続ける。
「…謝んなくていいから。」
坂本が抱き寄せた肩をポンポン叩きながら宥める。
「オレが余計に惨めになるじゃん。」
嗚咽する知広が落ち着くまで、坂本は知広の肩を抱き、ゆっくりとやさしく撫で続けた。
始めはしゃくりあげていた知広も徐々に落ち着きを取り戻し、坂本の方に頭を預ける。
二人はそのままうとうとと微睡んだ。
人は、前の恋を忘れられたら次の恋に進むことができるのか。
それとも、前の恋を忘れるために次の恋をするだろうか。
それは人それぞれなんだろうが、知広は前者なのだろうと、坂本は思った。
きっと相手のそういう気持ちを受け入れるのは、わりと最上級の愛情なのに違いない。
そういう愛情語っちゃう自分に酔ってるオレを、オレは嫌いじゃない。
なんなら知広が善之介を忘れるまで待ってしまうかもしれないオレも、オレは嫌いじゃない。
結局のところ、オレはオレが一番好きで、そこがキングたる所以なんだろう。
坂本はひとりで納得し、クスリと自嘲気味に笑った。