ハニトラ!

善之介の声は笑っているが、全く笑っていない目に、静かな怒りが伝わってくる。

―なんで、善之介がさよ子の家に?

驚きと恐怖で、オレはその場に立ちすくんだ。

「ごめんね、春野くん。嘘ついてぇ。」
キッチンのほうにいたさよ子が善之介の隣に来た。
善之介とオレの間の緊張した空気を知ってか知らずか、話始めた。

「私が春野くんの告白断ってから、二人が気まずいって善之介くんから相談されて。
3人で話し合ったほうがいいよねって、話して、春野くんにうちに来てもらうように誘ったの。」

さよ子は善之介とオレを引き合わせるために、家に誘ったってこと?
昨日話したオレと付き合ってくれるって話はどうなるんだろうか…

「春野くん、善之介くんと仲直りしてくれる?
私のせいで、二人がケンカするなんて、私困る…

知広くんとケンカするくらいなら、善之介くんは私と付き合ってくれないって言うし…でも、私、善之介くんが好きなの。」

泣き出すさよ子。

―さよ子のせいで善之介とケンカしたわけじゃない。
―というか、2回も振られて泣きたいのはオレの方だ。
―しかも、よりによって善之介連れてくるとは…

「今までどこ行ってたの?…心配した。」

泣き続けるさよ子をよそに、善之介が近づいてきて、混乱するオレを頬をさわり、抱き締めた。

「やめてくれよ!」

オレはもがいたが、善之介がものすごい力で押さえつける。
さよ子が泣き止んで、喚いた。

「ちょっと!どういうこと???」

「うるせーよ!!!ブス!!!!!黙れ!!!!!!!」

善之介はオレを投げ飛ばし、さよ子に向かって行った。

「…ま、待って!!!さよ子には手を出すな!!!!!」

善之介の足を必死で掴むオレを、善之介が蹴飛ばす。
善之介は、蹴飛ばしたオレの胸ぐらを掴み、ベッドほうに突き飛ばした。

「そもそも、ともぴょんが逃げなければ、こんなことにならなかったんでしょ!?」

猛然と向かってきた善之介が、ベッドの上でオレのマウントポジションを取った。
オレは善之介に上から何発か殴られ、早くも戦意喪失してしまった。

善之介がオレの着ている服に手をかけた。

「…善之介くん、やめて!!!」
善之介の肩を掴んださよ子を善之介は投げ飛ばし、隣にあった花瓶をさよ子のほうに投げつける。
花瓶はさよ子の横をかろうじてかすめ、壁に当たって派手に割れた。

「うううううううう…わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」

さよ子が声にならない声で泣く。

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