「おはよ。よく眠れた?」
目覚めるとさよ子がいる。
久々にみそ汁のいい匂いをかいだような気がした。
手づくりの朝飯がうますぎて、朝からおかわりしたのは高校生以来だ。
朝飯を食べたオレは学校に行く準備をした。
「今日は何時ごろ帰ってくるの?」
出ていこうとするオレにさよ子が不安そうな顔をする。
その表情に胸がキューンと締め付けられた。
オレのこと、さよ子が待っててくれるんだ。
たまらず、さよ子を抱き締めた。
「授業行って、荷物とって…4時ぐらいになるかな。できるだけ早く帰るよ。」
「…どうしたの?」
寮に戻ると昭仁が驚いた顔をした。
授業を終え、昭仁の部屋に向かったオレは、満面の笑みだったからだと思う。
「彼女とより戻せて、家に帰れることになったんだ。」
オレは、昭仁にまた、嘘と真実の混ざった話をした。
彼女が好きになったヤツに振られて、オレに謝ってきたとかなんとか。
経緯を手短に説明する。
「泊めてくれて、ありがとう!今度またちゃんと話すね。」
オレは昭仁の部屋にあった少ない荷物をまとめて言った。
「本当にありがとう!助かったよ。
また落ち着いたらちゃんとお礼させてよ。」
オレは、昭仁に暇請いをし、荷物を持って急いで出ていった。
家には愛するさよ子が待っている。
「ただいまー。」
さよ子が待っている部屋に帰るなんて、新婚気分だ。
女の子らしい白のポンポンすだれをくぐっていい香りのする部屋に入る。
そこには思いもよらない、人物がいた。
目に飛び込んできたのは、佐々木善之介の姿だった。
「ともぴょん、お帰り。待ってたよ。」