気がつくとオレは大判のバスタオルにくるまれ、ベッドに寝かされていた。
カーテンは敷かれ、ダイニングの方から漏れている明かりで、ぼんやりと薄闇のなかだった。
もう夜か。
あまりにもしつこく弄り回されたからか、下半身が熱を持ってジンジンしている。
「…うっ」
涙が溢れてくる。
「…うぅ…」
オレのなかでいろんな感情が駆け巡った。
「悲しい」というわけでもない。
「悔しい」というわけでもない。
「情けない」というわけでもない。
「えっ…ぐ…うぅ」
善之介に怒ってるのだろうか?
確かにアイツは許せないが、「怒り」というだけでもない。
ただ止めどなく胸に溢れる感情を流すように涙が出てきた。
「…ともぴょん、気がついた?」
声を圧し殺していたのだが、漏れ聞こえたのだろうか。
善之介がダイニングのほうからやってきた。
慌てて手のひらで涙を拭ったが、号泣してるところまで見られてしまったのだろうか。
「泣いてる顔もかわいいね。」
…コイツはヤバい。
オレは愕然とした。
オレの頬を伝う涙を親指で拭う善之介の顔が近づいてくる。
「今度はともぴょんがオレを気持ちよくしてよ。」
善之介の唇がオレの唇に重なる。
…コイツはオレの気持ちなんかこれっぽっちも分かってなんかくれない。
「…ふ」
怒りと悲しみと悔しさで苦しくなって、オレは唇を離した。
…吐き気がする。
善之介にはそんなオレの気持ちなんて関係ないのだろう。
オレの頭を羽交い締めにして、ヤツは唇にむしゃぶりつき、舌を絡め、オレをベッドに押し倒した。
ベッドに膝立ちした善之介はズボンを降ろし、怒張したそれが露になった。
「ともぴょん、愛してる。」
オレの脚を掬い上げ、善之介の上半身がオレに覆い被さる。
広い肩幅。
善之介のさらさらした髪が鼻先で揺れている。
「…ああああああああああ!!!!!」
異物が身体に侵入してくる。
気持ちに反して出したくもない嬌声をあげてしまうオレ。
「…っ!」
善之介は舌打ちをした。
「キツいな…ともぴょん」
善之介は、オレの全部を目に焼き付けるかのように、オレの顔をまばたきもしないでじっと見つめながら腰を揺らし始めた。
「…あんっ」
AV女優みたいだ。
善之介の腰の動きに合わせて、声が出た。
むしろ声を出さない方が、腹に堪えるような気がした。
「…あんっ!…あんっ!…そんなにっ!…見ないで!!!」
オレは顔を隠そうとしたが、善之介が、上からオレの手を押さえつけた。
「…全部…見せて…はっ…ともぴょん、愛してる」
善之介の腰の動きが早くなる。
「あ…ともぴょん…たまんない…あっ…はっ」
善之介の「愛してる」の意味はオレにはまったく分からなかった。
身体をこうして重ね合わせ屈服しているとしても、心だけは折れない、屈服なんかするもんかとオレは思っていた。
「ともぴょん、愛してる…ともぴょんだけは、オレが本当にほしいものなんだ…」