どれだけ眠っていただろう。
ふと目覚めた知広は、時間が気になり携帯を見た。
「今、どこにいる?」
善之介からのLINEの通知画面に目を見張る。
…ヤ、ヤバい!!!
知広は反射的に思った。
時計は午前5時を少しすぎたところだった。
どどど、どうしよう!?!?!?
知広がごそごそ動くのに気がついて、坂本も目覚め、目を擦りながら尋ねる。
「…今何時?」
「…ちょ、ちょっと待って………えと…5時!」
血相を変えテンパる知広の横で、坂本はあくびをして伸びをした。
「…なー…もう始発じゃーん。帰るー?」
のんびりと話す坂本の横で、知広は善之介への返信文を必死で考えいた。
この時間なら寝てるだろうし、気づかなかったふりを決め込もうか…いやいや、それはそれで何やってたの?って話だし。
入来くんのうちにいたってことにすればいいだろうか…ってゆーか、別の男の部屋に泊まってたと伝えたところで、善之介が怒るのには変わりないだろう。
部室に泊まってたことにしようか?…それはそれで万一バレたときに要らぬ腹を探られることになりかねない。
…てゆーか!!!
オレはなんでこんなに善之介を恐れているのだろうか?
また無理矢理ケツ掘られるから?
いやいやいやいや…
てか、善之介には別に好きなヤツいるじゃん。
オレにはもうそんな束縛するほど興味ないだろ。
そもそも善之介だって…
善之介だってここ数日帰ってこなくて、オレのLINE既読スルーしてたじゃん。
お前がどこ行ってたんだよ?人のこと責められるのか?って感じだし。
オレのことなんかどうでもいいはずじゃん。
どうだっていいじゃん?
一体なにが、オレにとってヤバいんだよ?
頭ではそう思っていたが、胸のざわつきはまったくおさまらないことに、知広は我ながら苛立ちを覚えた。
善之介なんかどうだっていい!
…どうでもいい!!!
………どうでもいい!!!
……………はずなのに?
「ともぴょん、どうしたぁ?」
坂本が知広の顔を覗きこむ。
「なんでもない!」
知広は熱くなる目頭を拭った。
「帰ろ!」
知広は無理矢理笑った。