「何これ何これ何これ!?超イケメンじゃーん!!!」

坂本が席に戻ると、ゲイビ仲間のひとりの携帯電話に群がり、みんなが盛り上がっていた。

「すっげーね。ドエロいじゃん!!!」

「おっ!キング~戻ってきたか~。岳史(たけし)のLINEにスゲーエロスパム送られていてるんだけど、見てみ見てみ。」

目の前に突き出された携帯画面を見て、坂本の目が点になる。

そこには全裸で、猿轡を噛まされ、手錠をされた上、足枷で両足を大股開きに腕に固定された悠希の動画が

「M男デビューしました。はるきです。見ず知らずのご主人様たちに輪姦(まわ)されて汁まみれになりたいです。ユルユルに弛緩したケツマンに生ペニスをぶち込んで中出ししまくってください。」

というコメント共に複数掲載されている。
バックから撮られた肛門全開の画像、勃起したぺニスが強調された画像、射精した後の下腹部を濡らした画像、そして気絶した顔のアップ画像など、次々に悠希のラインアカウントから流れてきていた。

「上野のSMクラブXXXでラッシュキメて待ってます。」

坂本の胃がキリキリ痛み始め、内容物がグルグルと掻き乱される。

―――オレのせいで村瀬が?

坂本は再び席を立ち、トイレに駆け込むなり、嘔吐した。
胸が締め付けられ、涙が自然と溢れてくる。
体は痺れ目から鼻から口から、中身がすべて外に流れ出てしまうような感覚に捕らわれた。
膝がガクガクと震える。

一頻り吐いた後、髪を掻き上げ、坂本は便座から顔を上げ、フラフラと立ち上がると洗面台で口を濯いだ。
右手が震え、目が血走っている。

顔を洗えども洗えども、涙や鼻水が止めどなく溢れていた。

「…こんなことしてる場合じゃねーや…」

坂本は鏡に映る鬼のような形相をした自分に呟き、ふらつきながらトイレを後にした。

「…ごめん!オレ、急用できたから帰るわ!!!」

坂本は財布を取り出し、一万円をテーブルに置いて、フラフラと店を出ていこうとした。

「お、おい、キング!…大丈夫か!?」

坂本の尋常ではない様子に仲間のひとりが声をかけた。

「…うん。…大丈夫。」

声は平然しているものの、眼光の鋭さに圧倒される。
仲間たちが沈黙する。

「それ、上野のXXXだっけ?」

出ていきかけながら、坂本は悠希のいる場所を再び確かめた。

「…あ、あぁ。でもスパムだと思うぜ。」

岳史が答えるのを背中で聞きながら、坂本は店を後にし、タクシーで急いで上野に向う。

―――オレはなんでこんなにショック受けてるんだろう。

タクシーに乗りながら、焦る気持ちの傍ら、何もできず冷静な自分がいる。

―――罪悪感?それとも…

坂本は瞳を閉じた。

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA