King and Prince, vs…

睨み付ける坂本の顔を、善之介もじっと見つめ返した。
悠希はどうすることもできず、二人をまごまごと見守っていた。

「…キング!なにやってんだ!?!?!?」

黒スーツの男が駆け寄ってくる。
スタッフと思わしき複数人の男たちも車から降りてきた。

「お前、撮影前だろ!?!?!?」

「……………」

坂本は不貞腐れて、掴んでいた善之介の襟首を放した。

「…申し訳ない。うちのモデルが…」

黒スーツの男が善之助に謝罪する。
スタッフに支えられて、善之介も立ち上がった。

「…ほら!お前も謝罪しろ!!!」

スーツの男は坂本の頭を押さえつけたが、坂本は謝罪を拒否するように逃れた。

「…こらっ!お前!!!本当に申し訳ない。」

「…いや。」

善之介は乱れた着衣を整えながら応えた。

派手な喧嘩にギャラリーの誰かが通報したのだろう。
警察官も駆けつけてきた。
パトカーの音に、辺りは一瞬騒然とし、黒スーツの男が対応している。

「アンタ、なんで殴ったの?」

説明を求められた坂本は黙っている。

「アンタに思い当たる節は?」

善之助も黙秘していた。

「騒ぎを起こして本当に申し訳ございません。」

坂本、悠希、善之介の三人も警察官に事情説明を求められ、真ん中に座っている悠希だけが平謝りに謝っている。
悠希を真ん中に挟んで、坂本と善之介はそっぽを向いてまったく目を合わさない。

「ちょっとした痴話喧嘩…だよね?」

悠希が左右の二人を代わる代わる見る。
警察官がため息をついた。
喧嘩両成敗。痴話喧嘩に付き合うほど暇ではない。

「…で、被害届は出すの?」

坂本も善之介も黙って首を横に振った。

「じゃあもう、騒ぎ起こすんじゃないぞ。分かったか!?」

警察官が言うのに、善之介がちらりと見て小さくうなずいた。
坂本は相も変わらず不貞腐れている。

「分かったな?」

「本当にご迷惑おかけして申し訳ございませんでした。僕からもよく言います。」

念を押して、立ち去ろうとする警察官に悠希が頭を下げて見送った。

「撮影中止だな、こりゃ。」

スタッフがこそこそ喋っている。

「キングの損失補填するのかなー?」

「てか、あの頭下げてるヤツ、今回の女優?かなり上玉じゃ~ん。」

思わず、善之介が悠希のほうを振り返る。
悠希は黙って目を逸らせた。

「キングー…なにやってんだよ!?勘弁してくれよ…」

警官対応を終えたスーツの男がやってくる。

「今日の撮影とばすことになった。君もせっかく来てくれたが申し訳ない。」

スーツの男が悠希に頭を下げる。

「またスケジュール連絡する。」

男は周りのスタッフたちにも撤収を告げ、大きな黒塗りの車に乗って去っていった。

 

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